相続税の最高税率は55%ですので、資産家に相続が発生すると、何千万円、何億円という単位で相続税がかかってきて、財産の多くが相続税でなくなってしまいます。これでは子孫に財産を残すことができないのはもちろん、今まで住んでいた家や仕事をしていた事業所まで売却して相続税を払うことにもなりかねません。
資産家にとって相続税は最も負担の重い税金ですが、一方で、相続税は最も節税対策のやりやすい税金です。何もしていないと家や事業用財産まで失ってしまいますが、相続税対策を上手にやっていれば、子孫に財産を残すことができるのです。
税理士、高橋会計事務所では、次のような相続税対策が必要な方を全面的にサポート致しております。相続税対策でお困りのことがありましたら、何でもお気軽にご相談下さい。
1.相続税対策の相談
2.生前贈与、相続税対策のサポート
3.贈与税の申告書の作成
<相続対策についてのインフォ―メーション>
1.相続税対策を成功させる4つの法則
相続税対策を成功させるためには、基本的な考え方とやり方を理解する必要があります。ここでは、相続税対策を成功させるための4つの法則をご紹介します。
法則1 対策3本柱のバランスをとること
相続税対策には、①節税対策、②納税資金対策、③争族対策の3つの柱があります。資産家がどんなに相続税の節税対策を行っても、納税額をゼロにすることはできませんし、不動産が売れない時代ですので事前に相続税の納税資金対策をする必要があります。
また、せっかく相続税の節税対策を行い、納税資金の準備までして財産を残しても、親子、兄弟姉妹で醜い相続争いをしているといういのでは何にもなりません。それなら生きている間に自分で財産を使い切ってしまった方がいいくらいです。したがって、相続争いを防止するための対策も欠かせません。
法則2 多くの対策を組み合わせて実施すること
一つの相続税対策だけで済まそうとすると、失敗するケースが少なくありません。例えば、多額の借金をして不動産を購入したところ、借金の返済ができなくなってしまった、高額の生命保険に加入してしまい保険料の負担が重過ぎる、あまりにも多くの生前贈与をしすぎて失敗したといった事例がしばしば見受けられます。
相続税対策にはリスクとコストがつきものです。一つだけの対策の効果は少なくても、多くの対策を組み合わせて実施すれば、リスクとコストを分散させて、大きな効果を生むことができます。
法則3 対策は早め早めに実施すること
相続が近づいたと思われるときに相続税対策を行っても、間に合いませんし、ほとんど失敗します。例えば、年間110万円の贈与税の非課税枠を利用した生前贈与では長い期間をかけないと効果がありません。また、被相続人が亡くなる直前、養子縁組や不動産の購入といった節税対策を行うと、税務署とのトラブルになのます。
したがって、続税対策を成功させるためには、できるだけ早く始めなければなりません。
法則4 土地所有者は不動産の法人化を行うこと
土地所有者にとって究極の相続税対策であり所得税対策ともなるのが、不動産の法人化です。不動産を法人に組替えるにも色々な方法とパターンがありますので、自分にあったやり方で不動産の法人化を行う必要があります。
2.相続税対策のポイント
相続税をひととおり勉強したら、相続税対策を実施してください。その場合のポイントとなることを挙げておきます。
①相続税対策は事前に早めに
相続税対策は、いざ相続があったときでは遅すぎます。
相続開始後でも「配偶者の税額軽減の利用」など対策がないこともありませんが、ほとんどの対策は事前に、それも、できるだけ早めに実施すべきでしょう。有効な相続税対策を実施するには時間がかかるのです。
②納税対策を重視すること
バブル経済以前は、土地は売ろうとすれば売れる時代でした、したがって、相続税の納税資金は土地を処分すれば、つくることができました。
しかし、現在は土地が売れない時代です。相続税をどうやって納めるかに多くの人が苦労しています。延納や物納、生命保険の利用など、納税対策をよく研究してください。
③争族対策も考えて
たとえ相続税を払わなくても済むという人であっても、争族のことを考えておかなければなりません。
最近では、遺産をめぐる相続人間のトラブルが急増しています。現代の世相を反映する拝金主義が相続の世界にもいち早く浸透しています。
相続争いを防ぐために、親の遺志を子に正しく伝えるためにも、遺言を利用することをおすすめします。
生前贈与をしたい方へ
自分の生きている間に財産を譲り渡したいということも少なくありません。しかし、財産を生前贈与すると贈与税がかかってしまいます。しかも、贈与税はとんでもなく高い税金ですので、下手に贈与してしまうと、大変なことになってしまいます。
もっとも贈与税には、「110万円の基礎控除」、「贈与税の配偶者控除」、「相続時精算課税制度」などの特例がありますので、これらの特例を上手に活用すれば、贈与税がかからないで、もしかかったとしてもわずかな金額で済ませることができます。
税理士、高橋会計事務所では、上手な生前贈与のやり方についてのアドバイスと全面的なサポートを致しております。生前贈与でお悩みのことがありましたら、何でもお気軽にご相談下さい。
1.贈与税のしくみ
贈与税とはどんな税金か?
*贈与とはどういうものか
「贈与」とは、自分の財産をタダで与えることをいいます。タダで与えるといっても、一方的に与えるだけでは贈与になりません。贈与する人が自分の財産をタダで与えるという意思表示を示し、贈与を受ける人がこれを承諾することにより贈与は成立します。
なお、贈与する人を「贈与者」といい、贈与を受ける人を「受領者」といいます。
*なぜ贈与税が課税されるのか
贈与によって財産を取得した人には「贈与税」が課税されることになっています。
相続によって財産を取得したときには、相続税がかかります。贈与は夫婦間や親子間で行われるのが普通ですから、贈与による財産の取得に対して税金がかからないとしたら、贈与を自由に行って相続税を納めなくても済むようになってしまいます。そこで贈与が行われた場合には、贈与税を課税することによって、減少してしまう相続税額の補完をしようというわけです。
*だれが贈与税を納めるのか
贈与税が課税されるのは、個人からの贈与によって財産を取得した個人です。つまり、財産を取得した個人が贈与税を納めることになっていて、財産を与えた人は関係ありません。
また、人格なき社団・財団又は特定の公益法人も贈与によって財産を取得したときには、個人とみなされて贈与税が課税されます。なお、法人からの贈与によって財産を取得した個人には、贈与税は課税されません。この場合には、一時所得として所得税が課税されることになっています。
*こんな場合も贈与税が課税される
贈与によって財産を取得した場合だけでなく、次の場合にも贈与があったものとみなされて贈与税が課税されますので注意してください。これがみなし贈与財産といわれるものです。
① 借金の免除や肩代わりがあった場合
・・・・借金を免除してもらったり、借金を第三者(例えば親)に肩代わりしてもらった場合には、その借金に相当する金額の贈与があったものとみなされます。
② 著しく低い価格で買った場合
・・・・例えば、時価1000万円の土地を400万円で買った場合には、その差額の600万円相当の贈与があったものとみなされます。
③ 他の人が掛金を負担した定期給付契約に関する権利の給付を受けた場合
・・・・定期預金受取人以外の人が負担したもので、定期金給付契約に基づく給付事由が発生したために受け取ったものは、贈与により取得したものとみなされます。
④ その他の経済的利益を享受した場合
・・・・①~③のほか、対価を支払わないで、または著しく低い対価で他から経済的利益を受けた場合には、その利益に相当する金額の贈与があったものとみなされます。
2.相続時精算課税制度の利用
*相続時精算課税制度のあらまし
平成15年の税制改正で贈与税が大きく変わりました。この贈与税の改正では、これまでに説明した贈与税のしくみ(従来からの課税方式)自体はかわりません。これとは別に新しい制度である相続・贈与税の一体化課税方式(相続時精算課税制度)が設けられました。
贈与税は、生前贈与による節税を防ぐために、相続税よりもずっと負担が重くなるしくみになっています。そのため、親から子への財産の移転は、ほとんどの場合に相続を通じて行われてきました。その結果、財産の移転がなかなか進むことがなく、この贈与税のしくみに問題が生じるようになってきました。
例えば、子供が住宅を必要とする年令になっても、すぐには親の資金を利用して住宅を購入することができません。
また、日本人の平均寿命が延びているため、相続の時期がどんどん遅くなっています。以前であれば、子供が40代後半ぐらいのときに遺産相続が行われるのが一般的でしたが、現在では平均寿命の延びに伴って、60代で相続があるのが普通となってしまいました。これでは親譲りの事業を拡大したり、資産を運用することが難しくなってしまいます。
そのため、早めに若い世代に財産を移す必要性生じてきたのです。そこで相続税と贈与税を一体化した新しい課税制度が導入されました。そのしくみは、相続のときに相続財産と生前に贈与された財産とを合計して相続税額を計算し、すでに支払った贈与税分を差し引いて納付するというものです。ここでいう贈与税は、贈与財産が2,500万円までなら非課税、それを超える部分については20%納税となっています。
そのため、この新しい課税制度である相続時精算課税制度を利用すれば、生前贈与により財産を取得しても相続した場合と同じ負担水準になるわけです。
この制度は、必ず使わなければならないというものではなく、選択により利用できるという制度です。したがって従来通りの方式で納税してもかまいません。
相続・贈与税の一体化課税の適用を受けるため条件や手続きなどは次の通りです。
*適用を受けられる人の条件
贈与する人は、満60歳以上の親であること。
贈与を受ける人は、満20歳以上の子である推定相続人(相続人となる権利のある人)であること。
これには代襲相続人も含まれます。贈与を受ける人について、人数の制限がありません。
*適用を受けるための手続き
相続・贈与税の一体化税制度の適用をうけるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、税務署にこの制度を選択する旨の届け出が必要になります。最初の贈与のときに届け出すれば、相続のときまでこの制度の適用が継続されます。
財産の贈与を受ける、子である推定相続人が複数いる場合には、その兄弟姉妹がそれぞれ別々にこの制度を選択することができます。また、財産を贈与する方の父、母ごとにこの制度を選択することができます。
贈与財産の種類、金額、贈与回数には制限がありません。
なお、相続・贈与税の一体化制度を選択して贈与したときの、贈与財産の価額は相続税評価額によることになります。
遺言をしたい方へ
最近、遺産分割をめぐって相続人間のトラブルが続発しています。利害が対立する者同士で仲よく話し合って、遺産を分割しなさいというのが無理な注文なのです。
あらかじめ、だれが何を相続するのか、どれだけ相続するのかを決めておけば何の問題も起こりません。それが遺言です。遺言書で決めておけば、相続が発生したときのトラブルが大幅に少なくなります。
税理士、髙橋会計事務所では、遺言書を書き方についてのアドバイスと全面的なサポートを致しております。遺言でお悩みのことがありましたら、何でもお気軽にご相談下さい。
●遺言の種類
遺言には法律を優先させる効力があります。また遺言の効果が生じるのは、本人の死んだ後ですので、その内容が本当かどうか確認することができません。したがって、遺言する人の意思を正確に伝え、遺言の偽造・変造を防ぐために、遺言にあたっては厳格な方式が定められています。
遺言は、文書で残さねばならず、これを遺言書といいます。遺言書は法律に定める方法に従って作成しなければ、その効果がありません。
遺言の種類を大別すると ①普通方式の遺言と②特別方式の遺言に分けられます。
普通方式の遺言は、さらに 次の3つに分けられます。
イ:自筆証書遺言
ロ:公正証書遺言
ハ:秘密証書遺言
通常に行われる相続に備えるための遺言は、この3つのうちいずれかを選択することになります。
特別方式の遺言は、普通方式の遺言をすることができないような特別の状況にある時に、低外的に認められるものです。特別方式の遺言は、次の4つに分けられます。
イ:死亡危急者の遺言(死亡が危急に迫ったときにできる)
ロ:伝染病隔離者の遺言(伝染病で入院したときにできる)
ハ:材船者の遺言(船舶内にいるときにできる)
ニ:船舶遭難者の遺言(船舶内にあって死亡の危急に迫ったときにできる)
●遺言書の保管はどうする
遺言書を書いても、自分の死後にこの遺言書がみつからなければ、その遺言の効力はありません。したがって、遺言書の保管については十分に注意しなければなりません。
遺言書は、自分で保管するか、人に預けることになります。自分で保管する場合は、銀行等の貸金庫に入れておいた方がよいでしょう。人に預ける場合は、最も信頼できる相続人の中の誰かや相続権のない親戚に預けることが多いようです。最近では弁護士などに預ける人も増えているようです。
●三つの種類がある普通方式の遺言
遺言書とは、財産を遺して死んだ人が相続人に自分の意志を伝えるために書いた手紙のことです。その内容は財産の分け方に限らず、どんなことでも構いません。
遺言には、「自筆証書遺言書」、「公正証書遺言書」、「秘密証書遺言書」の三つの種類があって、それぞれ定められた様式で作成しないと効果がありません。それぞれの特徴を理解して、自分にあった種類の遺言書を選択してください。
⑴ 自筆証書遺言書
自分で書いた遺言書のことです。遺言の内容の全文を自分の手で書き、日付を入れて、署名し、印を押せば出来あがりです。他人に書いてもらったり、ワープロで書いたものはこれまで無効でしたが、現在では遺言書に添付する財産目録についてはワープロで書いたものに署名押印したものであれば認められるようになりました。
遺言書の作成年月日が書いてないものや、日付が自筆でないものは無効になります。遺言書は何通書いてもかまわず、複数の遺言書がある場合には、死亡の日に最も近いもの一通だけが有効になります。そのため、日付は、有効な遺言書を見分けるのに非常に大切になるのです。
遺言をする人が署名し、印鑑を押しますが、印鑑は認印でもかまいません。
ふつうは、遺言書を封筒に入れ封印をし、遺言書と書いて日付を入れ署名捺印しますが、封筒に入れたり封印しなくても有効です。
遺言書の保管者や発見者は、相続の発生を知ったときは、遅滞なくその遺言書を家庭裁判所に持っていき、裁判所の検認を受けることになっています。検認とは、遺言書が偽造・変造されないように、記載内容をそのまま保存する手続きです。
封印のある遺言書は勝手に開封することはできず、家庭裁判所で後日、相続人全員の立会いのうえで開封することになっています。
なお、2020年7月10日より法務局で自筆証書による遺言書を保管する制度が始まります。本人が持参した自筆証書遺言書を登記所実費程度の手数料で保管するという制度で、預けられた遺言書は裁判所での検認が不要となります。
⑵公正証書遺言書
公証人に作成してもらった遺言書です。公正証書とは公証人が作成した書類のことをいいます。この作成のためには、必要書類(印鑑証明、住民票、戸籍謄本、登記簿謄本、評価証明書など)を用意して二人以上の証人とともに公証人役場へ行く必要があります。
遺言したい内容を公証人に口述し、公証人はそれを法的にも間違いのない文書として書き、遺言者および証人に読み聞かせます。内容に間違いないことを確認すると、遺言者本人と証人が著名押印します。公証人が作成するので、法律的な有効性などは心配がありません。
また、遺言書は本人と公証人役場でそれぞれ保管することになりますので、紛失や偽造・変造の恐れもありません。
公正証書遺言書を作成するためには、必要書類を用意したり、証人を依頼したりしなければならず、手間とヒマがかかります。また、公証人に手数料を支払う必要があります。
また、証人に遺言の内容がわかってしまうというデメリットもありますので、信頼できる証人がいない場合には不向きです。
⑶秘密証書遺言書
公正証書遺言書だと証人に遺言内容がわかってしまう、という問題点を解決したいときにはこの秘密証書遺言書がお勧めです。遺言内容は自分で書き、公証人にその遺言書が確かに自分で作成したものだと証明してもらうのがこの遺言書です。
遺言書は本人が作成します。自筆である必要はなく、ワープロや代筆でもかまいません。そこに署名・押印して封筒に入れ、封印します。それを証人二人と共に公証人役場へ持っていって、自分の遺言書であること、および自分の住所、氏名を述べます。
公証人は、遺言書が提出された日付とそれが本人の遺言書であることを記載し、遺言者および証人とともに署名・押印します。
遺言書は遺言した人が保管します。相続があったときは、相続人がその遺言書を家庭裁判所に提出して検認を受ける必要があります。後日、家庭裁判所で相続人全員の立会いのうえで開封することになります。
秘密証書遺言書では、遺言内容が他人に漏れることはありませんが、内容に法的不備が生じる可能性がありますので注意して下さい。
【ワンポイント】
通常の場合の遺言方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言及び秘密証書遺言の三種類があります。いずれの方式による場合でも、法律に定められる手続きに従って作成しなければ、その効果がありませんので注意してください。
遺言の種類
遺 言 | ① 普通方式 | イ:自筆証書遺言 |
ロ:公正証書遺言 | ||
ハ:秘密証書遺言 | ||
② 特別方式 | イ:死亡危急者の遺言 | |
ロ:伝染病隔離者の遺言 | ||
ハ:在船者の遺言 | ||
ニ:船舶遭難者の遺言 |