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お役立ちコラム

2019.08.05

所得税の確定申告のご案内

「面倒くさい、領収書の整理や経理事務に分からない確定申告。 経理担当者を雇う程ではないけど、自分でするのは難しいし、時間もない」 といった個人の依頼人様向けのサービスです。 簿記等の知識などまったく必要ありません。資料をそろえていただければ、その後の確定申告まで全てお引き受けいたします。

サービス内容
・領収書・請求書等を基に記帳代行
・所得税の確定申告書の作成
・所得税の確定申告書の作成

確定申告代行サービスのためにそろえる資料は次の通りです。

〇毎年必要なもの
領収書・請求書等
売上明細(レジペーパー、請求書など)
契約書
通帳コピー
※預金通帳への簡単なメモ書きをお願い致しております。
引出しや預入れなど、メモがなければ取引の内容や取引先名などがわからなくなってしまいます。取引先名、取引内容を預金通帳に簡単にメモしていただきますように、お願いしております。
給与明細

〇初回のみ必要なもの
過去の確定申告書(控)
税務署へ届けた書類(青色申告承認申請書、青色専従者給与届出書、源泉税の納期特例承認申請書など)

不明な点や分からないことがありましたら、当事務所へお問い合わせください!

<所得税の確定申告のインフォ―メーション>

●所得税の確定申告とは
所得税の確定申告とは、 前年1年間(1月1日~12月31日)に所得のあった個人が、2月16日~3月15日までの間に所得(利益)と所得税額を計算して、税務署に申告(確定申告書を提出すること)し、税金を納税すること をいいます。
所得は全部で10種類(利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、譲渡所得、山林所得、一時所得、雑所得)あり、 それらの所得を所定の手順で計算、所得税額を算出して納税します。

●もし所得税の確定申告をしなかったら
日本では納税者は自ら税務署に確定申告する制度ですから、本人が確定申告しなければ税金を払わずに済みます。 しかし、税務署は無申告者の摘発を行っていますので、税務署に指摘されると 「無申告加算税」というペナルティーが加算されます。 無申告加算税は、納付すべき税額の15~20%の割合となります。
また、これだけでなく「延滞税」も加わってきます。 延滞税とは、期限を過ぎてから支払期限からさかのぼって上乗せされる税金です。 額は年利14.6%と、街金融並の利子になります。(ただし、支払期限を過ぎて2ヶ月以内に関しては約4.5%)
さらに、意図的に収入を隠した場合は、 「無申告加算税」に代えて「重加算税」という税金が加算されます。 この重加算税は、さらに上乗せ額が多く、税額の最大35%が上乗せされます。
このように、無申告で通して税金を払わずにいると、 税務署に指摘されて本来の税額よりも倍近く払わなければならないことになりかねません。

●確定申告が必要な方
所得税及び復興特別所得税申告書の提出が必要な方のうち、主なものをご紹介します。

(1) 給与所得がある方
① 給与の年間収入金額が2,000万円を超える方 給与を1か所から受けていて、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。) の合計額 が20万円を超える方
② 給与を2か所以上から受けていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える方
③ 給与を2か所以上から受けていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える方
※給与所得の収入金額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除を除く。)を差し引いた金額が150万円以下で、更に各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の方は、申告は不要です。
④ 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社から給与のほかに、貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている方
⑤ 災害減免法により所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の徴収猶予や還  付を受けた方
⑥ 在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税及び復興特別所得税を源泉徴収されないこととなっている方

(2) 公的年金等に係る雑所得がある方
公的年金等に係る雑所得のみで、公的年金等に係る雑所得の金額から所得控 除を差し引くと、残額がある方は確定申告書の提出が必要です。
ただし、公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の各種の所得金額が20万円以下である場合には、確定申告は必要ありません。
(注1)所得税及び復興特別所得税の確定申告が必要ない場合であっても、所得税及び復興特別所得税の還付を受けるためには、確定申告書を提出する必要があります。
(注2)所得税及び復興特別所得税の確定申告が必要ない場合であっても、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。

(3) 退職所得がある方
退職所得は、一般的に、退職金の支払の際に支払者が所得税及び復興特別所得税を源泉徴収するだけで所得税及び復興特別所得税の課税関係は終了するため、確定申告書の提出は不要です。
ただし、外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがある方は、確定申告書の提出が必要です。

(4) 上記の(1)〜(3)以外の方
各種の所得金額の合計額(譲渡所得や山林所得を含む。)から、所得控除を差し引き、その金額(課税される所得金額)に所得税の税率を乗じて計算した税額から配当控除額を差し引いた結果、残額のある方は、確定申告書の提出が必要です。 
(注)上記の(1)~(4)で確定申告書の提出が不要な場合であっても、上場株式等に係る譲渡損失と配当所得との損益通算及び繰越控除の特例などの適用を受ける方は確定申告書の提出が必要です。
日本国内に住所を有している又は現在まで引き続いて1年以上居所を有している方(居住者)のうち非永住者以外の方は、所得が生じた場所が国の内外を問わず、その全ての所得、例えば、国外の銀行等の預金の利子や、国外にある不動産の貸付け・譲渡による収益、国外の法人等に対する出資に係る収益などの所得についても、所得税及び復興特別所得税を納める義務があります。
なお、非永住者の方は、課税所得の範囲が異なります。  

●確定申告はどのように行えばよいのか
所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税並びに贈与税の申告書や青色申告決算書などの作成は、確定申告書等作成コーナーが便利です。このコーナーでは、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動計算され、計算誤りの心配がなく、これらの申告書等を作成することができます。
また、所得税及び復興特別所得税の確定申告書については、スマートフォンやタブレット端末から作成することができ、年末調整済みの給与所得者(1か所からの支払のみ)で、医療費控除やふるさと納税などの寄附金控除を適用した還付申告をする方は、スマホ専用画面をご利用できます。
作成した申告書などは以下の方法で提出することができます。

(1) e-Tax(電子申告)で申告する(事前に利用開始のための手続等が必要です。)。
「確定申告書等作成コーナー」で作成した申告書などは、e-Tax(電子申告)により送信することができます。

(2) 郵便又は信書便により住所地等の所轄税務署に送付する。
通信日付印により表示された日が提出日になります。

(3) 住所地等の所轄税務署の受付に持参する。
税務署の時間外収受箱への投函により提出することもできます(税務署の開庁時間内でもご利用いただけます。)。
※なお、税務署の相談会場ではパソコンを使って申告書を作成していただいております。

●「予定納税額」の金額はどうすれば確認できるか
「予定納税額」の金額は、例年6月頃に税務署から送付される「予定納税額通知書」に記載されていますので、ご確認ください。
また、金融機関の口座振替をご利用いただいている方は、口座振替の通帳等で確認いただけるほか、現金等で納入された方は、領収済通知書でも確認いただけます。

●所得税及び復興特別所得税の還付申告ができる場合
確定申告の必要がない方でも、次のいずれかに当てはまる方などで、源泉徴収された税金や予定納税をした税金が納め過ぎになっている場合には、還付を受けるための申告(還付申告)により税金が還付されます。
なお、給与所得者や、公的年金等に係る雑所得がある方(年金所得者)で確定申告の必要がない方が還付申告をする場合は、その他の各種の所得(退職所得を除く。)も申告が必要です。
還付申告については、2月15日以前でも行えます(税務署の閉庁日(土・日曜・祝日等)は、通常、税務署では相談及び申告書の受付は行っておりません。ただし、一部の税務署では、日曜日でも確定申告の相談及び申告書の受付を行います。)。

① 総合課税の配当所得や原稿料などがある方
年間の所得が一定額以下である場合。一定額は、あなたの所得金額や源泉徴収された税金などにより異なります。

② 給与所得者
雑損控除や医療費控除、セルフメディケーション税制による医療費控除の特例、寄附金控除、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除(年末調整で控除を受けている場合を除く。)、政党等寄附金特別控除、認定NPO法人等寄付金特別控除、公益社団法人等寄附金特別控除、住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除、認定住宅新築等特別税額控除などを受けられる場合

③ 所得が公的年金等に係る雑所得のみの方
雑損控除や医療費控除、セルフメディケーション税制による医療費控除の特例、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除などを受けられる場合

④ 年の中途で退職した後就職しなかった方
給与所得について年末調整を受けていない場合

⑤ 退職所得がある方
次のいずれかに該当する場合
イ.退職所得を除く各種の所得の合計額から所得控除を差し引くと赤字になる
ロ.退職所得の支払を受けるときに「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったため20.42%の税率で源泉徴収がされ、その所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額が正規の税額を超えている

●何年前まで遡って還付申告をすることができるのか
確定申告の必要がない方の還付申告は、還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間行うことができます。したがって、これまでに申告をしていなかった場合、平成26年分については、令和1年(2019年)12月31日まで申告することができます。
同様に、平成30年分については、令和1年(2019年)1月1日から令和5年(2023年)12月31日まで申告することができます。
なお、所得税の額から控除しきれなかった住宅借入金等特別控除額がある場合、翌年度分(平成31年度(2019年度)分)の個人住民税額からその控除しきれなかった金額を控除できる場合があります。この制度の適用を受けるためには、年末調整によりこの制度の適用を受けている方を除き、原則として平成31年(2019年)3月15日までに住宅借入金等特別控除を受けるための確定申告書を住所地等の所轄税務署に提出する必要がありますのでご注意ください。

●電子申告の利用手続及び利用方法
なお、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用していただくと、e-Tax(電子申告)用の申告等データを作成することができ、マイナンバーカードとICカードリーダライタを準備すれば、作成したデータを直接、ご自宅等から電子申告することができます。
また、事前に税務署で手続していただければ、マイナンバーカードとICカードリーダライタをお持ちでない方でも、e-Taxをご利用できます。

●転居・結婚等により、申告時の住所・氏名と源泉徴収票に記載された住所・氏名が異なる場合には、どちらを確定申告書に記載するのか
申告時の住所・氏名を記載することになります。また、税金が還付される場合、還付金の振込先の預貯金口座の口座名義は、申告する氏名と同じものを指定してください。

●住民税や事業税の申告はどうなるのか
所得税及び復興特別所得税の確定申告書を税務署に提出した方は、税務署から地方公共団体に確定申告書等のデータが送信されますので、改めて住民税や事業税の申告書を提出する必要はありません。

●還付申告の場合も「復興特別所得税額」欄の記載は必要か
還付申告の方も含め、申告される全ての方について「復興特別所得税額」欄の記載が必要です。確定申告書の作成に当たっては、「復興特別所得税額」欄の記載漏れのないようご注意ください。

●毎年、確定申告書にマイナンバーの記載及び本人確認書類の添付が必要か
番号法整備法や税法の政省令の改正により、税務署等に提出する申告書にマイナンバー(個人番号)を記載することが義務付けられました。
また、なりすましを防止するため、税務署等がマイナンバーの提供を受ける際には、本人確認(番号確認と身元確認)を行うこととされています。
したがって、税務署等に申告書を提出する都度、マイナンバーの記載及び本人確認書類の提示又は写しの添付が必要となり、毎年の確定申告書にもマイナンバーの記載及び本人確認書類の提示又は写しの添付が必要です。

●所得税のしくみ
(1) 所得税の算出のしくみ
所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に
税率を適用し税額を計算します。
平成25年から令和19(2037)年までの各年分については、復興特別所得税を所得税と併せて申告・納付します。
復興特別所得税は、平成25年から令和19(2037)年までの各年分の基準所得税額(原則として、その年分の所得税額)に2.1%の税率を掛けて計算します。また、平成25年1月1日から令和19(2037)年12月31日までの間に生ずる所得については、源泉所得税の徴収の際に復興特別所得税が併せて徴収されます。

(2) 所得金額の計算
所得は、その性質によって次の10種類に分かれ、それぞれの所得について、収入や必要経費の範囲あるいは所得の計算方法などが定められています。
1.利子所得
2.配当所得
3.不動産所得
4.事業所得
5.給与所得
6.退職所得
7.山林所得
8.譲渡所得
9.一時所得
10.雑所得
注:国外で支払われる預金等の利子や国外にある不動産の貸付・譲渡による収益、国外の法人等に対する出資に係る収益などの所得についてもこれらの所得に含まれます。

(3) 課税所得金額の計算
課税所得金額は、その方の1月1日から12月31日までの1年間(年分といいます。)の全ての所得から所得控除額を差し引いて算出します。
所得控除とは、控除の対象となる扶養親族が何人いるかなどの個人的な事情を加味して税負担を調整するもので、次の種類があります。
1.雑損控除
2.医療費控除
3.社会保険料控除
4.小規模企業共済等掛金控除
5.生命保険料控除
6.地震保険料控除
7.寄附金控除
8.障害者控除
9.寡婦控除・寡夫控除(27万円、特別寡婦は35万円)
10.勤労学生控除(27万円)
11.配偶者控除
12.配偶者特別控除
13.扶養控除
14.基礎控除(38万円)

(4) 所得税額の計算
所得税額は、課税所得金額に所得税の税率を適用して計算します。
超過累進税率
所得税の税率は、所得が多くなるに従って段階的に高くなり、納税者がその支払能力に応じて公平に税を負担するしくみとなっています。
課税所得金額が650万円の場合に適用される所得税の税率及び所得税額
税率5%:195万円×0.05=9万7,500円
税率10%:135万円×0.1=13万5,000円
税率20%:320万円×0.2=64万円
所得税額:9万7,500円+13万5,000円+64万円=87万2,500円(所得税額)
注:土地建物等や株式等の譲渡所得など他の所得と区分して税額を計算する所得もあります。

(5) 所得税及び復興特別所得税の申告納税額の計算
所得税及び復興特別所得税の申告納税額は、次のように計算します。
1.所得税額から、所得税額から差し引かれる金額(配当控除など)を差し引きます。
2.1で計算した金額を基準所得税額として、その金額に2.1%を掛けて復興特別所得税額を算出します。
3.1で算出した所得税額と2で算出した復興特別所得税額を合計します。
4.2で算出した金額から源泉徴収された所得税及び復興特別所得税の額(源泉徴収税額)などを差し引いて所得税及び復興特別所得税の申告納税額を算出します。
注:所得税額や復興特別所得税(附帯税を除きます。)の確定金額の端数計算は、これらの確定金額の合計金額によって行いますので、その合計額に100円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てます

<税理士についてのインフォーメーション>

1.税理士とは

税理士とは、税理士法に定める国家資格であり、税理士となる資格者を有する者のうち、 日本税理士会連合会に備える税理士名簿に、財務省令で定めるところにより、氏名、生年月日、 事務所の名称及び所在地その他の事項の登録を受けた者をいいます(税理士法18条)。

その業務として、他人の求めに応じ、各種税金の申告・申請、税務書類の作成、税務相談、税に関する不服審査手続き等を行います。

なお、「税理士となる資格を有する者」としては、税理士試験に合格し2年以上の実務経験を持つ者、23年以上税理署に勤務し指定研修を受けた国家従事者(いわゆる税務署OB)、公認会計士、弁護士があり、税理士名簿への登録を受けることによって「税理士」となり、税務を行うことができるものとされています(税理士法3条1項)。

税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とします(税理士法2条1項)。
① 税務代理(税理士法2条1項1号)
② 税務書類の作成(税理士法2条1項2号)
③ 税務相談(税理士法2条1項3号)
この他、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができるものとされています(税理士法2条2項)。

また、税理士は、その他の業務として、税理士業務に付随する範囲において社会保険労務士業務の一部をなすことができます(社会保険労務士法27条・同施行令2条)。さらに、税理士となる資格を有する者は行政書士登録を受ければ行政書士となることができます。(行政書士法2条)

・身近にいつでも相談できる親しい税理士を見つけておくことも生活の知恵です。
健康のことでホームドクターに相談するように、税金のことは税理士に「事前」に相談することがもっとも賢明な方法です。
税理士は職務上知り得た秘密を守り(守秘義務)、相談者との信頼関係を揺るがすことはありません

・公平な税負担により、住みやすい豊かな暮らしを守る。これが、税理士の社会的使命です。
時代に適合した透明な税務行政がなされるよう、公正な立場で、税理士は国への働きかけをしています。それらの使命を全うするため“税理士会”という大きな組織の力で日々活動しています

2.税理士業務について

税理士業務は、税務代理、税務書類の作成及び税務相談に大別されます。

⑴ 税務代理
税務代理とは、税務官公署に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て(以下「申告等」という)につき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行することをいいます(税理士法2条1項1条)。主に税務調査に立会って対応することがこれに該当します。

⑵ 税務書類の作成
税務書類の作成とは、税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、かつ、税務官公署に提出する書類で財務省令で定めるもの(以下「申告書等」という)を作成することをいいます(税理士法2条1項2号)。主に税務申告書を作成することがこれに該当します。

⑶ 税務相談
 税務相談とは、税務官公署に対する申告等、第1号(税務代理)に規定する主張もしくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずることをいいます(税理士法2条1項3号)。

3.税理士法の制定と税理士制度の歩みについて

税制において、1947年(昭和22年)以降、従前の賦課課税方式から自己申告方式である申告納税方式が採用されるなど民主化の観点からの見直しが行われました。日本の税制・税理士制度の近代化に大きな影響を与えたものとして1949年(昭和24年)に来日したコロンビア大学教授シャウプ博士を団長とするシャウプ税制使節団の報告書いわゆるシャウプ勧告があります。 この勧告は、税制において申告納税制度の普及定着のため青色申告制度をはじめ日本の税制を体系的に大きく改革させると同時に、税理士制度についても税務代理士制度を廃止させ新たに税理士法を制定させる契機となりました。これは、各府県が徴収してきた地租を所得税中心の税制に転換し、徴税権を大蔵省へ集中する制度設計となっており、大蔵省主税局が政策立案し、外局である国税庁が税を徴収する組織となりました。税理士は国民と行政庁との橋渡しをする代理人としての役割を担い、国税庁により税理士は監督下に置かれています。このような日本の税理士制度はシャウプ勧告の内容を理念として制定されています。シャウプ勧告では税理士制度について「納税者の代理人」という標題のもと論じられています。この勧告の中では税に関する専門家である税理士の果たすべき役割として次のように記述されています。

「納税者の代理人を立派につとめ、税務官吏をして法律に従って行動することを助ける積極的で見聞のひろい職業群が存在すれば適正な税務行政はより容易に生まれるであろう。また、引き続いて、適正な税務行政を行うためには、納税者が税務官吏に対抗するのに税務官吏と同じ程度の精通度をもってしようとすれば、かかる専門家の一段の援助を得ることが必要である。したがって、税務代理士階級の水準が相当に引き上げられることが必要である。かかる向上の責任は主に大蔵省の負うべきところである。税務代理士の資格試験については、租税法規並びに租税及び経理の手続きと方法のより完全な知識をためすべきである。」

つまり、税理士制度を「納税者の代理人制度」としてとられ、適正な税務行政を行うため「税務官吏をして法律に従って行動することを助ける」と同時に「納税者が税務官吏に対抗するのに税務官吏と同じ程度の精通度を持った援助者たる専門家」としての役割を求めています。また、そのためには「税務代理士階級の相当水準の資質の向上を図る必要がある」と勧告しています。

その為、制度設計上、「納税者が税務官吏に対抗するのに税務官吏と同じ程度の精通度を持った援助者たる専門家」としての学識や教養を有する高学歴の知識層(具体的には、日本各地の大学等の高等教育機関卒業生)へ資格取得の際に試験免除手続きを整備しました。現在の院免除の萌芽である。政界では元副総理兼外務大臣経験者渡辺美智雄氏等を始め、これにより日本各地の資産家や名家や有力者の高学歴の子弟が資格取得する契機となりました。

この勧告を受け税務代理士制度の是正を行うため、新たな税理士制度として税理士法が1951年(昭和26年)3月30日に議員提案により国会に上程され、同年5月31日に可決され、直ちに6月15日に公布され同年7月15日に施行されました。

税理士法の特徴としては、名称を「税務代理士」から「税理士」に改称したこと、そして何よりも税理士業務を行うための資格付与については許可制度を廃止し新たに試験制度を導入したことが挙げられる。税理士法制定の提案理由については、1951年(昭和26年)3月31日の衆議院議員大蔵委員会の国会議事録によると、「戦後申告納税制度及び青色申告制度等が実施せられ、租税制度に根本的な改革があり、税務代理士の職責はますます重加し、その素質の向上をはかる必要が強く要望されていた」とあり、これを踏まえ「人格及び能力ともに適切な人材が納税者の代理等の業務にあたり、租税負担の適正化を図りつつ、申告納税制度の適切な発展のため、従来の許可制度から原則として試験制度に改め資質向上を図った」とあります。

つまり、戦前の賦課課税制度から申告納税制度に移行したことに伴い、その業務の遂行を担う高い専門性を有する法曹人口が増加しなかった不都合性を解消する趣旨で、法曹制度とはパラレルに、別途、税理士という新たな資格を創設し、税理士試験制度の導入によりその資質の向上・担保を図り、もって租税負担の適正化・申告納税制度の適正な発展を目的として税理士法が制定されたのです。平成14年4月より、税理士業務報酬規定は廃止となりました。また、時同じくして、日本税理士会連合会は、昭和58年4月20日付日連第36号(登第12号)「税理士の広告に関する取扱いについて」示達を廃止し、広告に関する規制が自由化されました。

4.税理法の一部を抜粋(参考)

(税理士の使命)
第一条 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
(税理士の業務)
第二条 税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十条の四第二項に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。第四十九条の二第二項第十号を除き、以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 税務代理(税務官公署(税関官署を除くものとし、国税不服審判所を含むものとする。以下同じ。)に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て(これらに準ずるものとして政令で定める行為を含むものとし、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二章の規定に係る申告、申請及び審査請求を除くものとする。以下「申告等」という。)につき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること(次号の税務書類の作成にとどまるものを除く。)をいう。)
二 税務書類の作成(税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、かつ、税務官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第三十四条第一項において同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)で財務省令で定めるもの(以下「申告書等」という。)を作成することをいう。)
三 税務相談(税務官公署に対する申告等、第一号に規定する主張若しくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第六号イからヘまでに掲げる事項及び地方税に係るこれらに相当するものをいう。以下同じ。)の計算に関する事項について相談に応ずることをいう。)
2 税理士は、前項に規定する業務(以下「税理士業務」という。)のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。
3 前二項の規定は、税理士が他の税理士又は税理士法人(第四十八条の二に規定する税理士法人をいう。次章、第四章及び第五章において同じ。)の補助者としてこれらの項の業務に従事することを妨げない。
第二条の二 税理士は、租税に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。
2 前項の陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。

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