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お役立ちコラム

2019.07.18

税務調査への対応

税務調査はある日突然やってきます。通常は3~5年に1回程度で頻繁にあるわけではありませんが、もし申告に不備が見つかれば35%もの重加算税や原則14.6%の延滞税がかかります。なによりも大きいものは税務調査に対する不安やストレスではないでしょうか。高橋会計事務所では、税務調査について次のようなサポートを税務署OBが対応しています。

①税務調査についての一般的な説明と相談
②税務調査への準備
③税務調査の立会
④調査後の税務署との折衝とアフターフォロー
⑤税務調査後の修正申告又は更正の請求

<税務調査インフォ―メーション>

●なぜ税務調査があるのか
ところで、税務調査が好きな人はいませんし、誰もが調査なんか受けたくはありません。それでは、なぜ税務調査があるのでしょうか。
現在の日本の税制では、法人税や所得税については、申告納税制度がとられています。この申告納税制度というのは、自分で自分の所得及び税額を計算し、その税額を自主的に納付するという課税制度です。
この申告納税制度を維持するための重要な役割を担っているのが税務調査なのです。申告納税制度のもとで、税務調査がなかったら、はたしてどれだけの人がまじめに税金を納めるでしょうか。
また、自分では正しい申告納税をしたつもりでいても、現在のような複雑な税制のもとでは、その適用を誤って申告してしまうということもあり得ます。
そこで正しい申告納税を促し、課税の公平を維持し、国家の税収を確保するためにあるのが税務調査なのです。
法人税や所得税のように申告納税制度がとられている税金には税務調査があり、固定資産税のように当局が税額を計算し、 税金を課してくるもの(これを賦課課税方式といいます)には税務調査はないのです。
それでは、次に、税務調査が行われる法的根拠はどこにあるのでしょうか。
国税についての基本的な事項を定めた法律に国税通則法という法律があって、 その24条に税務署長が調査により申告書に係る課税標準等又は税額等を更正すると規定されています。
そして法人税法の153条で、税務職員が調査に必要があるときは、法人に質問したり、帳簿書類その他の物件を検査することができるとあります。 さらに法人税法154条で、その質問や検査する権限は、法人の取引先にも及ぶものとされています。

●税務調査が省略されることはあるのか 
実地調査は、必ずしもすべての申告について行なわれるというわけではありません。 申告内容と税務署の事前調査の一致するような場合は、あえて実地調査をする必要はないからです。
そのほか、申告書上でわかる間違いなどは、税務署に呼び出しがあって修正の指導が行われ、実地調査にまではおよびません。
また、税務調査が行われる期間は、通常の調査では過去3年分です。 したがって、新規に設立した会社では、設立後3年間は原則として調査がありませんので、調査が行われるのは4年目以降ということになります。 規模の小さな会社では、設立後7年目から10年目くらいに初めて調査が入るというのが通常です。

●税務調査はいつやってくるのか
税務調査がやってくる季節といったものがあるのでしょうか。
税務署も役所には変わりないので、役所が業務を行っているときは、いつでも税務調査がやってくる可能性はあります。 
しかし、税務署の内部的な都合で、どうしても税務調査を盛んに行う時期とほとんど行わない時期があるのです。 
税務行政にはサイクルがあって、7月1日から翌年6月30日までを1つのサイクルとしています。これが税務署の事務年度といわれるものです。この事務年度に合わせて、毎年6月末から7月初めにかけて定期の人事異動が行なわれています。
このサイクルに合わせて、だいたい6月ごろまでに提出された申告書は、7月、8月中に内容をチェックして、9月から12月の間に実地調査を行うことが多いようです。そのため秋が税務調査のシーズンになるのです。
1月から3月にかけては所得税の確定申告の時期であるため、税務署も税理士も忙しく、調査はあまりないようです。この時期の税務署は、個人部門だけでなく法人部門も忙しいようです。
税務署の人事異動の勤務評定が出揃うのが4月末ということですので、4月は追込みの調査が行なわれることもあるようです。
その後の5月と6月についてですが、人事異動の対象者は、5月と6月の調査実績は評価の対象にならないようなので、この時期はどうしても調査が少なく、また、調査があったとしても甘い調査になりがちのようです。

●税務調査の種類
ひとくちに税務調査といっても、いろいろな種類とやり方があります。
⑴強制調査と任意調査
税務調査は強制調査と任意調査に分けることができます。
強制調査は、納税者の承諾の有無にかかわらず、国税犯則取締法に基づき強制的に行われる調査で、査察と呼ばれています。
これは脱税犯を刑事訴追するための調査であって、裁判官の捜索、差押えの許可状によって強制的に行われます。もし調査対象会社が実力でこれを妨害するようなことがあれば、警察の協力を得て調査が行われることになります。
これは一般の任意調査と違って、計画的で悪質な脱税犯に対して行われるものですので、通常の調査ではこのようなことはありません。
一方の任意調査は、法人税などの税法上の質問検査権に基づいて行われるものです。
これは強制調査と違って、調査を拒否されれば原則として調査の強行はできないことになります。
ふつう税務調査といえば、この任意調査のことをいいます。以下ではこの任意調査について述べます。
⑵準備調査と実地調査
準備調査をすることによって実地調査の対象となる事業者が選ばれることになります。準備調査では、次のようなことが行われます。
申告状況の検討・・・期限内に確定申告書が提出されているかどうか、納税されているかどうかなどの調査
確定申告書の調査・・・確定申告書及びそれに添付されている貸借対照表、損益計算書、勘定内訳書、事業概況書に計算間違いがないか、税法の適用に誤りがないか、異常な数値等の不審な点がないかなどの調査。
経営分析・・・売上高と仕入高の関係、人件費などの諸経費の対前年期比増減分析など
税歴の検討・・・会社の過去の税務上の履歴を税歴といいます。税歴のよくない会社は実地調査の対象になる可能性が高くなります。
これらの準備調査は税務署の内部で行われますので、机上調査ともいわれます。
準備調査では、その他に内偵調査が行われることもあります。調査官が飲食店や小売店など の店舗を外から観察したり、あるいは客を装って飲食したり、商品の購入をすることもあります。
これらの準備調査の結果、異常があった場合には、税務調査の中心となる実地調査に移ることになります。
実地調査とは、調査官が現場に出向いて帳簿書類や現物を検査することをいい、一般に税務調査といえばこの実地調査を意味します。
⑶帳簿調査と現況調査
帳簿調査とは、調査官が事業所に赴き、会計帳簿や証憑書類をチェックして申告が正しく行われているかどうかをチェックすることをいいます。帳簿調査は税務調査の中心になるものです。
ここでの主な調査資料は次の通りです。
・総勘定元帳
・現金預金出納帳等の補助元帳
・会計伝票
・給与台帳
・預金通帳
・領収書、請求書等の証憑書類
・各種の契約書
また、事前に収集してある資料と会社の帳簿等との照合も行われます。
現況調査とは、事業者の帳簿ではなく、現物の資産を実際に調査することをいいます。例えば、金庫やレジスターの中を抜き打ち的に調べ、中の現金の金額と現金出納帳の金額を突き合わせます。
また、金庫や机の引出しの中味を調べることもあります。棚卸資産の数量の調査、機械や器具備品などの固定資産の現物を調査することもあります。
現況調査は必要に応じて行われ、全く行われないケースも少なくありません。
⑷反面調査
調査の対象としている納税者の取引先や取引銀行を調査することによって証拠としての裏付けをとることをいいます。本人調査に対して反面調査と呼んでいます。
反面調査は、常に行われるというものではありません。本人に対する調査だけでは十分な証拠が入手できなかったとき、領収書や請求書に不明あるいは不審な点があるときなどに行われます。
遠隔地の取引先であるため、調査官が自分で直接調査にいけないときは、その所轄の税務署に調査を委託するということもあります。
反面調査は、本人調査を行う前に実施される場合もありますし、本人の調査中に行われる場合もあります。反面調査をすることによって調査官は強力な証拠を入手することが可能となります。

●税務調査の対象期間
税務調査は、確定申告書を提出した事業年度(または提出すべきであったのに提出しなかった事業年度)について行なわれます。
まず、最初に調べられるのは確定申告書を提出した直近の事業年度。 それから順次過去にさかのぼって、通常は過去3事業年度分まで調査することになります。
また、税務当局の都合によって、過去1年分だけとか2年分だけで調査が終わることもあります。
ただし、事実の隠蔽や仮装に基づく申告をしていると認められるときは、過去7年分に対しての調査が行なわれることになっています。
なお、ときとして申告書を提出する前(確定申告書の提出期限が来ていない事業年度分)に調査が行なわれることもありますが、この場合は拒否することができます。
税務署は法定申告期限前に課税処分することはできませんし、会社の会計処理も確定したものではないからです。

●税務調査で調べること
会社の税務調査では、法人税、消費税、源泉所得税、印紙税がその対象となります。
赤字のため法人税がかからないという場合でも、消費税、源泉所得税、印紙税は課税されますので、税務調査がくることもあります。とはいっても、調査の中心となるのは法人税で、他の税項目はこれに付随して調査が行なわれることになります。調査範囲と項目はかなり広いにもかかわらず、調査日数は限られていますので、調査対象期間の取引のすべてを調べられるというわけではありません。法人税だけでも調査範囲はかなり広いので、調査対象はさらに絞られてきます
所得隠しの手口としてよく行われるのは、売上除外、架空仕入れ、架空外注費、架空人件費などです。これらについては金額が大きく、その効果も大きいからです。また、売上の繰延べや仕入・外注費の繰上げ計上によって利益を繰り延べる方法もしばしば行われています。その他に税務調査でよく問題になるのは、役員個人費用の会社負担、交際費、資本的支出と修繕費の区分などです。したがって、税務調査ではこれらの項目が重点的に調べられることになります。
①売上の除外や繰延べ
所得隠しの典型は、特定の得意先の売上を除外する、あるいは特定の得意先の売上の一部を除外する方法です。もっとも、現金商売ではやりやすくとも、売上代金の回収が銀行振込みによって行われている場合にはなかなかできないというのが現実です。
また、売上の計上時期を翌期にずらすこともあります。これは意図的に行われることもありますが、単に事務処理の遅れによって売上計上が遅れてしまうことも少なくありません。
税務調査では、売上除外がないかどうか、売上の計上時期が適切かどうかなどが重点的に調査されます。
運送業における運送収入は、原則として、その運送にかかる役務の提供を完了した日の属する事業年度において計上すべきものとされていますので、計上遅れ等がないようにしたいものです。
②架空仕入れ、架空外注費
実在しない業者(あるいは実在する業者のことも)から架空の仕入れや外注加工があったものとして帳簿に計上しておくのが、架空仕入れ、架空外注費です。支払を偽装するために、実在しない会社名義のゴム印や印鑑を購入し、架空の請求書や領収書を作ることもあるようです。
架空仕入れ、架空外注費の疑いがある場合には徹底的に反面調査が行われます。また、仕入れや外注費の計上時期が適切であるかの調査も行われます。
③架空人件費
給料の支払いについては源泉所得税の調査が行われます。これによって適切に源泉徴収されているかどうか、架空人件費がないかどうかを調査するわけです。
実在しない従業員から源泉所得税を徴収納付して、その従業員があたかも実在するかのように仮装した上で架空人件費を計上するというケースもあるようです。
税務調査では、源泉所得税だけでなく社会保険への加入状況、履歴書・労働者名簿・出勤簿の調査、本人への照会、市役所への照会により、人件費の調査が行われることもあります。
④役員個人費用の会社負担
役員が個人的に使った費用を会社に負担させているケースもあります。役員の個人的なゴルフプレー代や休日に家族と使った飲食費を会社に負担させても、支払日、誰と一緒に行ったか、会社の事業との関連などが調べられます。
本物の領収書さえあれば会社の経費として認められるわけではありません。逆に、領収書がない場合であっても、実際に会社の事業のために使ったものであれば、会社の経費になります。
⑤交際費
税務調査で必ず調査の対象とされるのが交際費です。交際費として処理されるべきものが他の費用として損金に算入されていないかどうかチェックされます。比較的簡単に調べられますし、調べれば何か出てくるというのがこの交際費です。
よくあるのは、社員を飲みに連れて行った飲食費を福利厚生費として処理したら、交際費として課税されたというものです。税務上の交際費は、一般的にいう交際費よりも範囲が広いので、間違えやすい項目でもあります。
一人当りの飲食費が5000円以下であれば交際費としないこともできますが、会社内部の役員や従業員だけの飲食は会議費となるものを除き交際費となってしまいます。
税務上の交際費の範囲を正しく理解しておきたいところです。交際費等の支出の相手方は、直接その法人の営む事業に取引関係の有る者に限らず、間接にその法人の利害に関係ある者及びその法人の役員、従業員、株主等も含まれるものとされています

●抜打調査について
税務調査は、企業か顧問税理士にあらかじめ日時、場所を通知して行われるのがふつうです。
しかし、ときには事前通知なしの抜打調査が行われることもあります。現金商売を行っている飲食業などでは抜打調査も少なくありませんが、運送業など売上関係の証拠書類が残るような業種では、抜打調査はまずありません。
もし抜打調査があったらどうするか。これは原則として断ることができませんが、正当な理由があれば拒否できることになっています。
正当な理由の一つは、納税者が調査官に対して身分証明書の提示を求めたのに、調査官がこれに応じなかったときです。
したがって、抜打調査があったときは、まず身分証明書の提示を求めてこれをしっかりチェックするようにしましょう。
中には税務署を騙って事業者を訪れ、企業秘密を盗み出したり、モノを売りつけたりする輩もいますので注意して下さい。不当な調査だけでなく、あらゆる外敵から身を守るために、身分証明書の提示を請求しましょう。
もう一つは、納税者の権利が不当に侵害される場合です。
例えば、抜打調査によって営業活動が停滞してしまう、得意先からの信用が失墜してしまう、私生活の平穏が著しく害されてしまうような場合です。これらの事情を調査官にはっきりと説明し、納得してもらえば抜打調査を拒否することができます。

●税務調査の当日
通常の調査では、たいてい実地調査をする2週間ぐらい前までに、税務署から企業又は顧問税理士にいつ調査を行いたいという連絡が入ります。その日に都合が悪ければ、数日間ずらして別の日にしてもらうこともできます。
顧問税理士がいる場合は、その顧問税理士にも立ち会ってもらうようにします。税理士は、事前に税務調査に対する対処法をアドバイスしてくれます。また、調査の当日も調査官との間に入って、必要な受け答えをしてくれます。
税務調査は、当日の10時ごろに調査官が事業所へ訪れて始まります。その日の4時から5時ごろまで調査が続けられることもありますし、数時間で終わってしまうこともあります。たいていは1日で終わりますが、2日、3日と続くこともあります。 やってくる調査官は、中小企業ではふつう1名か2名です。
調査では、いきなり本題にはいるというようなことはなく、まず世間話や雑談から始まります。そして本人の経歴、趣味などから次第に調査内容に入っていきます。
税務調査とは、一見何も関係ないと思われるようなことを聞かれる場合もありますが、余計なことはしゃべらない方が無難です。例えば、ゴルフ、海外旅行、子供の留学などの話になると、その費用をどこから捻出したかの調査が行われることもあります。

●必要書類は事前に用意
会計帳簿や証憑書類は税務調査の当日までには必ず用意しておいて、調査当日には手許に置いてすぐに出せるようにしておきましょう。どのような書類を何年分用意しておくかは、調査官又は顧問税理士に予め聞いておくとよいでしょう。
一般的に、図表のような書類をそろえておくことになります。最低でも、会計帳簿や証憑書類は過去3年分、契約書等は過去7年分は用意しておく必要があります。
帳簿書類を事前に用意しておかなければならない理由の1つは、調査をスムーズに行うためです。当日に調査官から要求されてから探すとなると時間がかかってしまい、調査がなかなかはかどりません。1日で済む調査が、2日、3日となってしまうと、業務にも支障が生じてしまいます。
もう一つの理由は、調査に直接関係ないものを調査官に見られないようにするためです。事前に書類を用意していなかったために、調査官から要求された書類を取りに行こうとすると、調査官も後から付いてきて金庫やデスクの中を開けさせて調べまくることがありますので注意しなければなりません。
通常の調査は任意に行われるものなので、金庫やデスクの中の調査は断ることもできるはずです。ところが、急に言われると断ることができなくなってしまうのがふつうですし、断ると何か隠しているのではという疑いをもたれてしまいます。痛くもない腹を探られるのは、気持ちがいいものではありません。
証拠資料は事前に用意して手許に置いておくと共に、金庫やデスクには余計なものを入れておかないようにし、調査官の要求があった時はすぐに提示したり案内できるようにしておくことが肝要です。

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