1.軽減の概要
事業収入が一定以上減少している中小事業者に対して、2021年度の固定資産税・都市計画税をゼロまたは半分にするのが、新型コロナ対策としてお行われる固定資産税の軽減制度です。
令和2年2月~10月までの間における任意の連続する3ヶ月の事業収入が、前年の同期間と比べて、50%以上減少している場合は固定資産税及び都市計画税がゼロ、30%以上50%未満減少している場合は半分になります。
事業収入とは一般的にいう売上高のことで、運送業では営業収入のことです。給付金、助成金、補助金などの営業外収益や特別利益は含まれません。
事業収入に消費税の額を含めるかどうかは事業者の経理方式によります。売上について税込処理をしているのであれば消費税を含んだ金額で、売上について税抜処理をしているのであれば消費税を含まない金額で計算することになります。
売上について、昨年度までは税込処理をしていたが今年度から税抜処理に変更した場合には、旧来の処理方式で計上していた売上を、現在の処理方式に合わせて計算し直してから事業収入の減少割合を算出することになります。
軽減対象となる資産は、事業用家屋及び償却資産です。令和3年1月1日時点で所有している事業用家屋が軽減対象となりますが、個人の所有する居住用の家屋は対象外です
事業用と居住用が一体となっている家屋については、事業専用割合に応じた部分が軽減の対象となります。
個人に課される固定資産税は軽減の対象にはなりませんが、個人(会社の経営者)が事業主として事業用家屋を貸し付けている場合、その家賃収入の減少要件等を満たせば対象となり得ます。
なお、事業用であっても、土地は軽減の対象外です。
また、軽減対象となる年度は令和3年度分で、令和2年度分は軽減の対象にはなりません。ただし、別途の措置として、事業収入が大幅に減少した場合(前年同期比20%以上)、1年間の納税猶予が可能となっています。詳細については市区町村に問い合わせてみてください。
軽減の対象となる税金を整理すると次の通りです。
① 設備等の償却資産および事業用家屋に対する令和3年度分の固定資産税
② 事業用家屋に対する令和3年度分の都市計画税
固定資産税の軽減の対象となるのは中小企業だけで、その範囲は次の通りです。
- 資本金の額又は出資金の額が1億 円以下の法人
- 資本又は出資を有しない法人又は個人は従業員1000人以下の場合
ただし、大企業の子会社等は対象外となります。
2.軽減のための手続き
売上や対象となる事業用家屋・償却資産について認定支援機関等の確認を得た必要書類と共に市区町村の窓口に申告する必要があります。
⑴ 申告期限
申告期限は2021年2月1日(月)ですので注意してください。申告期限を過ぎてしまうと、軽減措置を受けることができなくなりますので、期限内に申告するようにしてください。
それまでに、認定支援機関等で確認を受けておく必要があります。
⑵認定支援機関に提出する必要書類
①申告書・・・事業収入割合、特例対象資産一覧、中小事業者等であることなどについての誓約など
②収入減を証する書類・・・会計帳簿や青色申告決算書の写しなど
③特例対象家屋の事業用割合を示す書類・・・青色申告決算書など
④収入減に不動産賃料の「猶予」が含まれる場合には、猶予の金額や期間等を確認できる書類
なお、認定支援機関とは、国の認定を受けている税理士や金融機関、商工会議所などで、正式には「認定経営革新等支援機関」といいます。
⑵ 市区町村に提出する必要書類
認定支援機関の確認を受けた申告書(原本)に加えて、同機関に提出した書類と同じものを提出してください(コピー可)。
①申告書(認定支援機関の確認印が押されたもの)事業収入割合、特例対象資産一覧、中小事業者等であることなどについての誓約など
②収入減を証する書類として会計帳簿や青色申告決算書の写しなど
③特例対象家屋の事業用割合を示す書類(青色申告決算書など)
④収入減に不動産賃料の「猶予」が含まれる場合には、猶予の金額や期間等を確認できる書類
必要な書類が揃っていない場合は、地方自治体等において申告が受け付けられないこともありますので注意してください。
図表1 固定資産税の軽減割合
令和2年2月~10月までの 任意の連続する3か月間の 事業収入の対前年同月比減少率 |
軽減割合 |
50%以上 | 全額 |
30%以上50%未満 | 2分の1 |